「会長、生徒会室に何か来ますよ。」
ルピーがグラウンドを眺めながら不安気に言った。
「大丈夫。僕は会長二年目なんだから。もうびっくりしないよ。」
「そうですか…。」
「それよりも今は体育蔡のプログラムプログラム。」
「はい。すぐに。」
などと話しているうちに…
「失礼します!」
フランがバタンとドアを開けた。
「こらこら、ドアは静かに開けなきゃ。」
ナイラは椅子に座ったまま悠然と微笑む。
「すみません。」
フランは一応謝り、ナイラの前まで進んだ。
「あれ?今日は一人?」
「会長、そんな事よりも…」
「予算の件ですか?」
ルピーの言葉にフランは頷き、ナイラを見据えて口を開いた。
「納得いきません。希望額の半分というのは少し酷くありませんか?」
ナイラは溜め息をつき、首を振った。
「酷くなんかないよ。大体希望額が高すぎるね。1ブレイズはないでしょ?学校から生徒会が貰ってる額が3ブレイズ。演劇部や美術部はただでさえ出費がかさむ上に他にも資金の要る部活は多いんだよ。」
「しかし!」
「あー‥いいわよ。じゃあ百歩譲って700ミーアで。」
シュラがユーロとエーレを連れて現れた。
「シュラちゃん…。後ろにいるのは新入部員さん?」
「えぇ。今後は大きな戦力になるわ。」
戦力…?
「ほら、これがうちの学校の生徒会長よ。」
シュラに促され、ペコンと頭を下げるユーロとエーレ。
『はじめまして。』
「わぁっ!」
ナイラは何故か歓声を上げてユーロの前まで駆けて来た。
「すっごいね!運命!?」
「…?」
ぽかんとしているユーロの手を握り、目をキラキラさせてナイラは続けた。
「美術品とか好き?」
「え…ま、まぁ。」
「イイ感じに美術館の招待券があるんだけど今度一緒にどう?」
「えー‥と…」
どうすればいいのか解らない。初対面の人にいきなり誘われるなんて…。
フランもエーレも呆気にとられてるし…。
ペコッ
「せめて名前くらい名乗れ。」
バーツがナイラの頭を冊子で叩きながら言う。
「あ、お帰り。そういえばそうだよね。」
ナイラは手を放すと、襟元を正した。
「はじめまして。僕は生徒会長のナイラ=アレクサンドリア。よろしくね。」
にっっこりと微笑まれ、ユーロは思わず見惚れてしまった。
超がつくほどの美人さんだ。
「どうしたの?」
「あ、いえ!別に…。こちらこそ、よろしくお願いします。ユーロ=シリングと申します。」
「ちょっとナイラ、ナンパは後にして頂戴。」
「まったくだ。」
シュラがユーロをかばい、バーツがナイラを引っ張った。
「あぁ、うーん…700ミーアねぇ…。やっぱり高いよ。」
「でも、このままでは研究費が足りません。」
フランがキッパリと宣言した。
「あ!じゃあ別の方法にしようか。半月後にある体育祭の予算から優勝賞金に合計300ミーア出す。出来るだけ稼いでみて。」
ね?と首を傾げるナイラ。
「…受けて立つわ。約束は守りなさいよ。」
と言い捨てて科学部の面々は引き上げていった。
「…どうしてくれるんですか。赤字になるかもしれませんよ?」
ルピーがうらめしそうにナイラを見る。
「勝てば大丈夫。」
「生徒会も参加ですか!?」
「もちろん♪さーて、賞の部門キメなきゃなあ…」
「お前…。」
バーツは深々と溜め息をついた。




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