翌朝、ユーロは少し早めに学校に来た。今日は教室の花を飾る当番なのだ。上履きに履き替えていると…

バサバサバサッ!

と何かが大量に落ちる音がした。何だろう?と見に行くと…
「…。」
床に屈み、不機嫌そうに長い髪を掻き上げている女子生徒がいた。
足元には散乱した封筒が山ほど落ちている。リボンを見ると、どうやら3年生のようだ。
「あの…」
「?」
ユーロを見た目は綺麗な紫で。
「お手伝い、しましょうか?」
「あぁ…そうね。ありがとう。」
声は若干ハスキー。
ユーロは足元にあった封筒を拾い、綺麗に整えて渡した。
まだ他のを拾っていた女子生徒はお礼を言ってそれを受け取り、立ち上がった。
思わず見惚れてしまうような抜群のスタイルだった。無造作なロングヘアがよく似合っている。
「助かったわ。」
「いえ。お手紙ですか?」
「そうね…ラブレターとかいうやつよ。」
「…いっぱい出すんですね。」
「…貰ったの。」
感心したように頷くユーロに、女子生徒は呆れ顔で口の端を歪めた。
「あ…すみません。」
「いいわよ。…それ、あなたの?」
指を指された先には、紙が落ちていた。今日出そうと思っていた入部届だ。
「あ、はい!」
「あら…化学部なの?珍しいわね、あんなとこに入部?」
紙を拾いながら、やはり不安になるユーロ。
「…怖いところなんですか?」
「…いや…一風変わった部員が多いんじゃないかしら?」
「昨日、見学に行ったら皆さん親切で楽しかったので…。」
「あら。そう?じゃあ大丈夫かしら?私も化学部なのよ。」
「えっ…?」
昨日、リラが言っていた3年生っていうのはこの人だったらしい。
「意外?」
可笑しそうに首を竦める。
「…はい。」
もっとこう…華やかな部活かと思った。そう、カリアのいるバトン部みたいな。
「そう。私、シュラよ。あなたは?」
「ユーロです。よろしくお願いします。」
「こちらこそ。じゃあね。」
そう言ってシュラは片目をつぶり、歩いていった。




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