狂気に苛まれているあなたの事は、長い間レオ将軍に言えなかった。でも、サマサに向かう時、やっと伝えたら…将軍は辛そうな顔をして下を向いた。
当然じゃないかな…。だって、私よりもずっと付き合いが長いから。親友だったんだから…。


あなたが村で幻獣を魔石に変えている中、レオ将軍は迷わずあなたに剣を向けた。
やっぱり…これ以上あなたを生かしてはおけないと判断したのね。
親友だけど…いや、親友だからこそ決断したんだわ。何よりも、あなたの事を考えて。
でも…彼は返り討ちに遭ってしまった…。
「将軍!」
「レオ将軍!」
あなたの哄笑が響く中、駆け寄るティナ達。
血まみれで虫の息のレオ将軍が「すまん」と口だけ小さく動かした。
私は…ただ、黙って首を振るしかなかった。
ケフカを止めなければいけない。
それだけだ。
もう…愛国心なんて欠片も無かった。
なくなってしまえばいい。帝国も、皇帝も、幻獣も…魔道士ケフカも!!
精一杯の憎しみを込めて振り返った私が見たのは、哄笑を上げながらあなたが流していた涙…。
ふと笑いを止めて不思議そうに頬に手をやり、首を傾げていた。
こちらに背を向ける直前、顔が苦しそうに歪んだのは…まだあなたが飲み込まれていなかったから…よね。
あなたは本当に意地悪だわ。どうして思い切り憎ませてくれないのかしら?
憎ませてよ、お願いだから。



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