そんな午後。


「やりましたわね!」
「やったよ〜!」
ナタリアとアニスが手を取り合って喜ぶ。
「これでアニスちゃんもジェノサイドプリティだよ!」
「おめでとうな、アニス。」
「ありがと、ルーク。賞金も入ったしね〜!次、団体戦いこ〜!」
元気にはしゃぐアニス。
「おう、行ってこい行ってこい。」
「あれ?ルークは行かないの?」
意外そうな顔。
「んー‥ちょっと、へばった。」
「だらしないなぁ。まぁ、いいや。行こうよ!」
「あ、私も待機です。」
「えー!?大佐もですかぁ?」
「えぇ。年寄りには闘技場が厳しくて。」
「…嘘くせぇ…。」
と、ルークが半眼で呟いたが、ジェイドは無視した。
「ぶ〜ぶ〜!」
「まぁまぁ。頼りにしてますよ、アニス。」
にっこり。
「あうぅ…大佐にそう言われるとやらなきゃいけないような気になるぅ…。」
「ま、頑張って下さい。」
しょぼん…とするアニスにいつもの笑顔を浮かべる。
「は、は〜い。行こっ!みんな!」
「もちろんですわ。」
「はいはい…」
「仕方ないわね…」
アニス達が行ってしまうと、ルークはジェイドを見た。
「で?」
「はい?」
「何か用なのか?」
「いいえ?」
「ふぅん?」
「ただ…」
「?」
「喉が渇きましたね。」
「あ、じゃあ…何か飲むか。」
「お茶しに行くんですの?」
ミュウがジェイドを見た。
「はい。」
「じゃあ、ボクが案内するですの。任せて下さいですの。」
ミュウはルークとジェイドを置いて歩き出した。
二人は怪訝な顔をしながらも、興味本位でついていく。
「この店ですの。」
ミュウが指したのはカフェだった。
「おやおや、あなたがカフェとはね。」
「…ここか…。」
「ご主人様のオススメのお店ですの。」
「…ほほう。」
「…。」
ルークは複雑な顔をしている。
中を覗いてみると、お洒落なカフェだった。
「いらっしゃいませ。」
ウエイトレスの声に導かれる二人と一匹は店に入った。
「動物のお客様ですね?こちらのお席にお願い致します。」
通されたのは、椅子ではなくベンチのようになったテーブルだった。
こりゃいいや、とルークが呟く。ミュウをテーブルの上に上げなくてもいい。
「…で、美味しいんですか?ここは。」
席についたジェイドが店内を見回しながら言った。
バチカルの商店街の一角にあるわけだし…
「え…知らない。俺、ここ入るの初めてだし。」
「…すみませ〜ん。」
ジェイドは満面の笑みでウエイトレスを呼ぶと、
「レモンティーをホットで。そこの小さい彼には野菜ジュースを。それから、スペシャルパフェを。」
「かしこまりました。」
「なっ…!」
ルークが文句を言うより早く、ウエイトレスが微笑んだ。
「当店のオススメ品ですよ。私も大好きなんです。」
「…。」
今更断るのも気が引けるので、大人しくするしかない。
「そちらのお客様は…ストローはお使いになりますか?」
ウエイトレスがミュウを見る。
「使えるですの。」
「え!?」
「あ、えっと、気にしないで下さい。ただのチーグルですから。」
ルークがあたふたする。
「まぁ、ローレライ教団の。」
ウエイトレスが驚く。
「あはは…ホント、あんまり気にしないで下さい。」
ルークは曖昧な笑顔を浮かべた。





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